第21回 cash! 

2008.10  恵比寿・エコー劇場  


犯罪を犯してしるのは会社だ。その賄賂を分捕るだけだ。
だからこれは犯罪のようで犯罪じゃない!

そんな都合のいい話は旨く行かない。誰もがよ~く知ってる事。
目の前に積まれた大金。しかしそれは偽物だった。
でも、ひょっとしたら、もしかしたら・・・
運命の女神はあなたに微笑んでくれるかもしれない。


CAST: 森田千恵子 / 中澤数美 / 渡辺幸司 / 八木康仁 / 真宮立佳 / 徳永貴子 / 染谷綾子 / 金子剛
山口幸祐 / 野本裕子 / 渡邊聖美 / 大村俊輔(劇薬混入団すくらっち) / 米津詩穂 / ひらのちえ  (キャスト写真
STAFF: 作・演出:鈴木実 / 照明:赤石諭(LIGHT GROOVY) / 音響:田島誠治(SoundGimmick) / 舞台監督:高橋京子 / 舞台美術:馬場克之(ビー・ステージ) / スチール写真:川合一司 / ビデオ撮影:平井将人・田口雄健 / 宣伝美術:渡部朋子 / 衣装・小道具:シアター ナノ.グラム / 制作:渡部朋子、小笠原正巳、谷野誠一 / 企画・製作:シアター ナノ.グラム



「やだ。諭吉、上の一枚だけしか居ない!!」

「あり得ないだろ?」

「運び込んだときは・・・。」

「下まで見てないよ。おぉ~! ってみんなで開けて言っただけ。」



「でも賄賂に紙きればっかりなんてあり得ないだろ!?」




「どういう事だよ!」

「見れば分かるだろ! やられた!
                乗せたつもりが乗せられてた・・・。くそっ!」



「どうして、いつ、分かっちゃったの?」

「だいぶ段取り違って行ったからなぁ・・・。」

「人ごとみたいに言わないでよ!
                自分でしょ?段取り違えてっちゃったの!」



-脚本より- 


  舞台裏では・・・


  今回「内田」役を演じさせていただきました金子です。

第21回公演「cash!」も無事終了いたしました。公演に携わった、 スタッフ様、客演様、制作様、お手伝い様には大変感謝をしております。
そう、皆様がいないと僕らは何もできません。
今後も暖かい目で見守ってくださいませ。

客演さんで米津詩穂というのがいましたが、実はうちの母方のいとこです。
親族で同じ舞台に立つというのはなかなかできないことだと思います。
出演していただきありがとうごさいました。
これで自分も松本幸四郎レベルまであがれました。(嘘です。ごめんなさい)

今回の内田という役にはモデル(?)がいました。
座長の知り合いで本当にリストラにあった方だそうです。
その方は「会社辞めてからメシうまいんだよね」と言っていたそうです。
その一言をきっかけに内田というキャラクターが生まれました。
今回の内田が座長のイメージに少しでも近づけていたら幸いです。

実は本番中に何度か足がつりそうになってました。
(本当は一度だけつりました。お客様にバレていなければ良しとしよう)
そして毎日筋肉痛でした。照明の赤石さんに話したら
「ていうかそれって自分でつけた芝居なんでしょ?」と言われました。
そう。その通りなんです。自分のイメージに体がついていかないんです。
なので次の公演までに999に乗って機械の体を手に入れようと思います(本当?)

末筆ですが、ご覧頂いた全てのお客様に御礼申し上げます。

金子剛




“邪悪主任 池田”を演じました徳永貴子です。
第21回公演『cash!』にご来場頂き誠に有難うございました。

さて今回の公演『cash!』。そう、ある意味今回の“主役”とも言える、 トランクに詰められたお札。あのお札は勿論本物ではなく制作さんの用意した小道具なのですが、 大量の1万円札を初めて見た時は役者みんなテンション上がりまくりでした。(その様子は稽古場日記でご覧いただけます。) ちなみにあのトランクいっぱいにユキチ様を詰めるとかる~く百億は超えちゃうらしいですよ。

テンションといえば、役者は本番前に恒例の早巻き稽古(こちらも稽古場日記9月13日分をご参照ください。)や、 ウォーミングアップなどしてテンションを上げていくのですが、あれは土曜日のマチネとソワレの間だったでしょうか。 舞台上でビヨンセのダンス練習をする野本裕子嬢。そこへ音響田島さんが本編では流れないビヨンセの曲をかけてくださり、 更に照明赤石さんがこれまた本編では回らないミラーボールを回してくださって、野本ビヨンセのダンスもキレキレに。 途中、真宮立佳嬢も加わってのダンスバトル??その他の役者はその様を、楽屋のモニターで見ていて大笑い。
「モニターで見る」って言うのがミソです。小さな画面の中でピョコピョコ動く二人はどっかのゲームキャラみたいで可愛かったです。 本番前のひととき、いろんな意味でテンション上がりました。

個人的には、初の悪役は緊張の連続でした。ふてぶてしく振る舞いながらも内側はふるふると震えておりました。 ココロの中で大汗をかいておりました。
そして首を絞めたり絞められたり。前回の初血糊、そして今回。
私も染まってきましたよ、ナノグラムに。
首絞め相手の八木&山口の二人には大変気を使っていただきました。
特に山口くん。「何かあったら責任を取る」 とまで言ってくれましたが…。

おかげさまで私は今、とても元気です。

来年の春も元気で皆様にお会いしたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。

徳永貴子


制作日記      


「cash!」にご来場・ご声援いただき、誠にありがとうございました。 劇団員一同、心より御礼申し上げます。

騙されたくせに推理小説ごっこをして遊んでしまうリストラチーム。
上手く騙したつもりが、実は騙されていたエリートチーム。
お客様の目にはどのように見えたのでしょうか?

信じていたものに裏切られた人々の絶望と悲しみが引き起こすホラー、
善意の人々とその善意を利用する国家の対立、その対立に利用され捨てられる人々、
人類を救うべく伝染病との勝ち目のない戦いに、決して格好良くはないけど逃げずに立ち向かう人々。

これまでのような大きなテーマではなく、各キャラクターの魅力そのものが 見せ場となっていく、そんな今回の「cash!」。
役者達はそれぞれ悩みながらも実に楽しそうで、熱の入った稽古場でした。
そしていつも以上に色んな遊びの流行った稽古場でした。
いや、キャラクター造形を深める為の遊びです。そうに違いない。
そう思いたい・・・(笑)

さて、リアリティよりも見た目のインパクト重視で大きさが決定された今回の影の主役?「現金の詰まったトランク」。
あのトランクに隙間なくぎっちり詰めると120億円程入ります。
120億円の賄賂って!?と出演者の間では話が盛り上げっておりました。
が、可笑しかったのは「ぎっちり詰めれば、の話ね。小包にしちゃったから半分位しかないよ?」 と言われた時の、とある役者の落胆の様子。
何故落ち込む?(笑)  60億でも大金でしょ? っていうか、お芝居であってホントに手に入れた訳じゃないでしょ?
更に可笑しかったのは、一緒に現金小包を作った制作チームのO君とY君。
何故君たちまでが落ち込む?(笑) 作る側は少ない方が楽でしょ?

何と言うか、人間の不思議さを見た思いです。
それとも、作品に入り込んでいた者ならではの反応だったのでしょうか?

渡部朋子